休日

思ったとおり昨日はぐっすり眠れた。
朝起きて、朝食はフレンチトースト。旨い。
朝食をとると、家内はまた眠くなった、という。食事をすると眠くなるのは私の悪い癖で、家内はむしろどんなに眠い時に起こされても(よく私がおなかがすいて目を覚ますと食事を作って欲しくて家内を起こしてしまう)一旦目を覚ますと眠れなくなってしまう。その家内が眠いという。よほど疲れているようだ。私もつられて(いつもどおり?)寝てしまう。
お昼頃起きて、宅配便を受け取ったあと、プールに行く。行くまでは面倒だが行くとやはり気持ちいい。帰ってきて風呂に入る。これまた気持ちいい。
風呂からあがったらいつもの旨い一杯。

大好きなエビス・ザ・ホップ。
実はお昼に受け取った宅配便、楽しみに待っていた品である。

商品名「やきやき道場」

焼き網付きの電気コンロである。

網を外すと焼き鳥が焼けるようステーがつけてある。

せっかくなので、まずは焼き鳥を焼いてみる。焼き鳥は家内が具を切って串にさしてくれた手作りである。ステーの間隔が狭いので窮屈な感じがする。実際むらなく焼くために軸を回転させるのだが、窮屈でやりにくい。ただ、焼き鳥を回転させても、正確に重心の中心が刺されていないので重いほうにまたくるんと戻ってしまう。実際焼鳥屋ではどうしているんだろう?何個も具をさしてほぼ正確に重心に串を打つなんてできるんだろうか?このとき配置が窮屈なほうが多少安定しないポジションでもお互いが支えあってなんとか向きを保てることがわかった。でも焼鳥屋では違う方法なんだろうなぁ。
焼けたら塩を振って食べてみる。旨い!
さすがにいつも行っている専門店に比べると肉自体の味が落ちるが(あちらは朝引きの生食できる鶏肉を使っているのだそうだ)、目の前で焼いているのでほんとに焼きたてジューシー、自分で焼いた満足感、そして家内が手作りしてくれたということもあって、旨さが倍増する。どれだけ旨かったかは、焼けてから食べるまでの写真を撮るのも忘れるくらいパクついてしまったことからも推し量れよう(笑)
しかし、この電気コンロを買ったのはこれが目的ではない。

最近うちでブームの芋フライ。家内の厄除祈願のついでに佐野の芋フライを食べて以来、週に1度は食べている。
この芋フライ、私はずいぶん前から食べたくて家内にリクエストしていたのだが、家内はそんなもの旨いわけないと思っていたらしく、実際に佐野の芋フライを食べるまでは作ってくれなかった。なぜ私が芋フライを食べたかったか、私が愛読している池波正太郎の作品にでてくるからだ。池波正太郎は多くのエッセイを書いているが、子供のころ、肉屋で売っている芋フライ(池波氏は「ポテトフライ」と呼んでいる)が好きだったらしく。よく食べていたようだ。
この本からの引用をお許しいただきたい。

男の作法 (新潮文庫)

男の作法 (新潮文庫)

池波氏はビールの飲み方へのアドバイスを語ったあと、ビールのつまみについてこう語っている。

 何にだってビールは合うんだけど、やっぱりじゃがいもなんかが合うんだね。夏はポテトフライなんかいいんですよ。あんまり大きくしないで、親指の先ぐらいに切ってゆでたのを、唐揚げでもいいけど、パン粉をつけて揚げたほうがうまいんだね。そして普通のウスターソースで食べる。キャベツの刻んだものと。

これは本当にビールによっく合う!最高のつまみの一品である。
もう少し引用をさせていただこう。

 これもやっぱり熱いうちに食わなきゃまずいんだよ。だから、ぼくがそれをやる場合は、お皿で親指の先ぐらいのポテトフライを持ってくるでしょう。別にこのくらいの小さな電熱器でもいいからそれに金網を乗せておくんだよ。それで、じゃがいもがぬるくなったら金網に乗せてちょっと焦げ目がつく程度に焙って、ソースへつけたらジュッとするくらいに熱くして、それでやればいい。うまいよ……。

最後の「うまいよ……。」がいい味出してると思う。ただ、このエッセイは正確には池波氏が直接書いたものではなくて、池波氏が氏の「若い友人」佐藤隆介氏に語りおろしたものであるので「…」を二つつなげたのは佐藤氏の技である。しかし、この「…」を二つつなげるぐらい、池波氏はしみじみと語ったのだなぁ、そのぐらいポテトフライが好きなんだなぁ、ということが伝わってくる、いい文章だと思う。
閑話休題
そう、これがやりたくて上の品を買ってしまったというわけ。電磁調理器全盛の昨今、近所の電気屋で電気コンロを探すのはなかなか難しい。しかしそれもネットの通販なら簡単に手に入る。便利な時代になったものだ。
早速ぬるくなったポテトフライを焙ってみる。

椎茸は焼き鳥と一緒に焼こうと思って用意してもらったのだが、焼き鳥を食べ終わる前にポテトフライがぬるくなってしまったので、ポテトフライと一緒に網に乗せて焼いて食べた。
焙ったポテトフライはソースにつけると確かにジュッと音がする。食べると揚げたてと変わらないぐらい旨い。家内は、揚げたてよりカラッとしている、油も落ちてヘルシーだ、という。これでこれからはポテトフライを長時間ゆっくり食べてもいつもカラッと旨いのを食べることができる。いい買い物をした。
それにしても、池波正太郎、本当に偉大である。決して高級料理ばかりを追い求めるのが食通ではない、ということが、池波氏の小説やエッセイを読んでいるとよくわかる。
最後にもうちょっとだけ引用させていただこう。池波氏がこのエッセイを書く(正確にはこのエッセイはかたりおろしされたものであるが)2,3年前にフランスに行ったときに、レストランでシャンパンに最もいい肴は何か尋ねたところポテトフライが一番だと言われた、という体験談の後の一言である。これを読むたびに私はビールとポテトフライが食べたくなるのである。

 そういうことだからね。冷たいシャンパンと熱いポテトフライ、冷たいビールと熱いじゃがいもの唐揚げ、いいわけですよ。さっそくやってごらんよ。